「ちゃんと
いい子にしていてくれたら

美味しいあんみつ
ご馳走してあげるわよ」


って。

私は食べモノに
釣られるような
子どもでも

あんみつ好きでは
ありませんからッ。


花嫁ばりに派手な
大正ロマンの背中を

ちょっと距離を開け気味に
ついていく。


「先生ッ!
明日のお見合いのコトで…」


大正ロマンの姿を見つけて
建物の中から

会館のスタッフらしいヒトが
駆け寄ってきた。


「ああ、その件ね…」

大正ロマンは
早歩きしながら

スタッフに
指示を出している。


…どうやら
マンガ家とか小説家では
ないらしい。


何の仕事をしているのか、って
訊いても大丈夫かな。


「先生〜!」

遠くから
花嫁と花婿が
大正ロマンの姿を見つけて

手を振っているけど。


「あのふたり。

去年、先生が引き合わせて

成婚までこぎ着けた
カップルなのよね〜」


いつの間にか

車を駐車場に
置きにいっていた
メガネっこが

追いついてきていて。


「先生、って
何の先生なんですか?」

そっと
メガネっこに尋ねてみた。


「占い師」

えッ。


「占いを使って

最適な見合い相手を探して
マッチングさせるのよ〜」


…って。

何かすんごく
怪しい宗教のニオイが

ぷんぷんしてますけれどッ。