「……」
私は自分の腰から
杖を外して
老人に
背中を取られないように
警戒しながら
私はベンチの下を
覗き込む。
「ないみたいですけど…」
「ないワケはないッ」
もっとよく探せ、と
杖で私を突っついてッ。
「それとも、何かい?
オマエさんが…?」
「!!」
ヒトに
さんざ探させておきながら
ドロボーの疑いは
ないんじゃないでしょうかッ。
「…私ッ、知りませんからッ」
「本当か?」
「知りませんってばッ!!!」
「…何をそうカッカと
苛立っておるんじゃ」
「ドロボー扱いされて
平気でいるヒトなんて
いませんからッ!」
「…いつ誰が
オマエさんのコトを
ドロボーだと言ったかえ?」
そこのアナタ様で
ございますッ!!!
「これ、そこなムスメ!
待たんかッ!
老人をひとり残して
どこに行くッ」
私の後を
杖を振り回しながら
老人がついてくるッ。
「そうやって逃げるトコロが
ますます怪しいッ!
ちょっとそこで
身ぐるみ全部
脱いでみせんかッ!」
「……」
「発展途上の
ペチャパイでも
ワシはいっこうに
気にはせんからッ」
「…くッ」
この屈辱感の上塗りは
なんなのかッ!!!