立ち去ろうとする私に

そんな純な目をして
すがりつくのは

ヤメテクダサイッ!!!


「ひと目、ひと目、ひと目ッ」

「嫌です、嫌です、嫌ですッ」


私のコートを掴んだまま
離そうとしないご老体を

引きずるようにして

私は
元来た道を引き返すッ。


くすくすくす。


半裸のおじいちゃんを
引きずって歩く私は

好奇の目にさらされてッ。


こんなトコロ。

知ってるヒトには
絶対に見られたくは
なかった。


のにッ!!!!!!


「トーコちゃん?」


トーコちゃんだよね?、って

訊き覚えのある
そのお声はッ。


ねずみ〜らんどの

「先生ッ!?」


「ウチのジイサマと
何をやってるの…?」


ウチの…ジイサマッ!?


「おお、タカヒロ。
遅かったのう」


タカヒロ?


「ジイサマも

どうしてこんなトコロに
いらっしゃるんですか?」


「どうして、って

今日はオマエさんが
お見合いをすると
いうモンだから…」


ねずみ〜らんどの先生が


「お見合いッ!!!」


「…トーコちゃん。

そんなに露骨に驚くのは
やめてくれるかなッ」