「…ごめん。
まさか、そんなコトに
なってるなんて
思いもしなかったから」
きっと
どんなオンナノコか
自分の目で見てみたい、って
ジイサマが
頼んだんだろうな、って
先生がまた溜息をつくッ。
「…占いの先生だって
言ってましたけどッ」
「いや、あのヒトは
父の愛人で…」
は?
「ウチの父親は
世界各国に
愛人を囲っているからね」
…何ですか。それッ。
「父親の最大の心配事である
後継者問題を解決して
ジイサマの前
いいトコロを
みせたかったんだろう」
…なんかとっても
複雑そうな家族関係。
「今日はセイくんが
このお見合いパーティーを
利用して
事態を
上手く取り成してくれる、って
さっきまで
いっしょだったんだけど…」
トイレに行くって
消えたっきり
姿が見えないんだ、って。
「振り袖姿のセイなら
さっき見かけましたけど」
「えッ、ウソッ、どこでッ」
「……」
先生はセイの話になると
本当に
目の色が変わるんだから。
「あらッ。
どこに姿を
眩ませたかと思ったら
タカヒロさんと
いっしょだったのね」
その声に振り返ると
大正ロマンが
立っていてッ。
…どこまで話を
聴かれていたのかッ。