まあるい部屋。

天井近くまである
たくさんの窓ガラスが

まるで温室のように

たくさんの冬の日差しを
集めていて。


部屋の真ん中には

パーティー料理が
色取り取りに並んでいる。


チーズに
フォアグラに。

セイの好きそうなモノが
たくさん並んでいて。


…先生ってば

セイのご機嫌取りを
せずには
いられないんでしょうか。


内股で洋館の裏に
消えていった先生の

哀しい後姿を思い出して


…何だか
切なくなってきた。


「先生!

タカヒロさまは
どうされたのですか?」


大正ロマンが
たくさんの婦女子に
囲まれている。


「すぐにいらっしゃるから」

って。

何もなかったかのように
説明をしているけれどッ。


先生の姿が消えたのに
平然としているのは

やっぱり

さっきの出来事を
一部始終を見ていて


先生のカラダに

どういう変化が
起こったのか、をも

ちゃんと理解していた、と
言うコトなのかッ。


「……」

怪しいッ。

このヒト
あまりにも怪しすぎるッ。


さっきから
先生、先生って

みんなに
ひっきりなしに
話し掛けられて

えらく人気者だけど。


…これは
本人が慕われているのか

それとも

ねずみ〜らんどの先生の
嫁になる為に

みんなが必死で
玉の輿を狙って

取り入ろうとしている姿
なのか。