”僕の大事なヒト”とゆ〜
先生のセリフに

会場が一斉にどよめいた。


無理もないッ。

見合いに来たのに

見合い相手が
彼女をその場に連れてきて
紹介するなんて

晴天の霹靂だろう。


みんなの視線が
私の全身に
矢のように刺さるッ。


…こ〜ゆ〜のは
セイでずいぶん慣れていた
つもりだったのだけどッ。


「大事な患者さまですのよ」

って。


大正ロマンの補足に
悪意を感じたッ!!!!!!


「ご覧の通り
先生と治療相談中で

今日は
大好きな先生が
お見合いと言うコトで

先生、頑張って、と
エールを贈りに
きてくれました!」


カワイイ患者さまに
拍手を!、って


パチパチパチ、と

会場が
いかにも納得然、とした
空気になったのも

気に入らないッ。


「そう言えば

ビフォー、アフターの
アフターの方は

どこに行かれたのかしら」


…それは
もしかして

赤いべべ着た
かわいいセイのコトを

指しているのでしょうかッ。


いかんッ。

笑って受け流さなくては、と
わかってはいるのだけれど


ここで
カンシャクを起こしたら
ダメだって

自分に言い聞かせては
みてるけど


握りしめた拳に

ぎゅっと
力が入っているのが
自分でもわかった。


私って

ここに恥をかかされる為に
連れて来られたんだろうか。


「俺の計画を
ぶっ壊したりしたら

ただじゃおかないからな」


…いったい
どこからどこまでが

セイの計画だと
言うんだろうか。


それとも

これはセイの計画外の
単なるアクシデントなのか。


「トーコちゃん」