ふいに
ねずみ〜らんどの先生に
手を握られ

ハッとする。


「トーコちゃんに
恥はかかせないから」


ねずみ〜らんどの先生が
私にそっと耳打ちしてきた。


耳がこそばゆい、と思ったのも
束の間


先生の指が
私のアゴに掛かって


「!!!!!!!!!」


先生の行為に
会場中が凍りつくッ!!!!


先生がッ

先生がッ

先生があああッッッ!!!!


私にキスしてッッッ!???


「……」

絶対にあり得ないと
思っていたッ。

ハッキリ言って
油断していたッ。


先生はオトコにしか
興味のないヒトだから

その辺の
どんな誠実なオトコより

安全だって
思い込んでいたッ。


セイのコトが
大好きで

セイのコトを
一途に思っている

そんなヒトが


保身の為に

好きでもないオンナノコと
簡単にキスできて
しまうなんて


誰が想像できただろう。


「僕の最愛の女性です」


そんな大ウソを
シラっとついて

私に
やわらかく笑い掛けてくるッ。


あうあうあうあうあ。


どうリアクションしていいか
わかりませんッ。


こんなトコロを
セイに見られでもしたらッ。


見られ…。


「!!!!」


会場の入口から
痛いくらいの視線。


赤いべべ着た金魚が

壁にもたれ掛りながら
腕を組み

コチラを見ていてッッ!!!


…いつから
そこにいたんでしょうかッ。