私と目が合うと

セイのキッツイ目が
さらにキツくなって。


「……」

その背中から立ち上っている
嫉妬の炎柱に

背中が凍った。


…やっぱり今のは

セイの計画なんかじゃなく

先生の
スタンドプレイで。


「…あ、あ」

動揺を隠せない私の肩を
先生が自分に引き寄せる。


「ちゃんと
演技してくれないと

みんなに変に思われるよ」


私にまた
ささやき掛けてきて

私の耳元に
先生の唇がわずかに触れるッ!


ドカドカドカッ!


「きゃ!」


見合いに集まった女性達を
乱暴に撥ね退け

かき分けるようにして


セイが凄い勢いで
こっちに向って
突進してきたッ!!!!


「ちょっと!
アナタッ!!」


大正ロマンが
セイの進路を阻もうとするも

セイの眼中には
私と先生しか入っていない。


セイは
大正ロマンを振り解いて


先生の目の前に立ち

美しい顔で
至近距離から睨みつけた!


「先生。

何、勝手なコト
してくれてんだよ!」


セイは自分が
女装しているコトなど

アタマから
ぶっ飛んでいるに違いない。


だけど

どんなに
ドスの利いた低い声でも


狂気に満ちたその目は

傍から見れば

嫉妬に狂った
オンナのそれで。


「ちょっとアナタッ!!」


大正ロマンが
会場にいたスタッフと

セイを先生から
引き離そうとした。