「…俺が
さっき先生にしたコトの

仕返しのつもり?」


「まさか!」

先生は
余裕然と笑っててッ。


私のアゴを
再び持ち上げると


「教室にリコーダーを
忘れて行くヤツが悪いんだろ」

私の唇を
先生の親指が往復するッ。


それって

もしかしてッ

セイと
間接キスしたかった、って

意味なんでしょうかあああ。


私ってッ。

私ってッ、私って


いったい、何〜〜〜〜ッ!!!!


あまりの切なさに
その場で気を失いたくなるッ。


オンナとして
見られてないどころかッ

セイの吹いた
リコーダー扱いなんてッ。


どさくさに紛れて

合法的に
間接キスを狙ってる先生も
かなりの哀しさですが


私の惨めさだって

それに負けないモノが
あるかと思われますッ!!!!


「そんなに
キスが欲しいのなら

いくらでもくれてやる!」


セイが先生の
胸ぐらを掴むと


「いやああああああッ」


お嬢さま達が
目を伏せて

蜘蛛の子を散らすように
一目散に
扉から出て行った。


ホールの真ん中。


刺激の強い音を立てながら

セイが先生に
ディープなキスをしている。


一方的に唇を奪われていた
先生の腕が

戸惑いながら

セイの帯に回っていった。


…おいおいおいッ。


「何を考えているのかしらッ」


大正ロマンが
真っ赤な顔で取り乱して


「見損ないましたわッ
タカヒロさんッ!」


どんッ、と
私を押し退けて

ふたりの間に
割り入ってくるッ。