「いくら独身貴族を
謳歌したいからって

こんな風なやり方で
イッキにお見合いの話を
潰すなんて!

あんまりなやり方じゃ
ありませんコトッ!?」


変なウワサが立って

もう誰も嫁に来たいなんて
思わないだろう、って


大正ロマンが
レースのハンカチを
噛みしめたッ。


…確かに

こんな非常識で
きな臭いオトコ。


つき合うだけなら
おもしろがれても

自分の夫には
絶対にしたくないタイプだ。



「そんなに
跡取りが必要なら

正妻の子供である
僕なんかに遠慮せず

アナタが父との間に
子どもを成せば
いいんですよ」


先生が
大正ロマンに
冷たく言い切った。


「あの方は
アナタに
期待してらっしゃるの!」


欲しいのは
優秀なアナタの遺伝子で
あって

誰でもいいと
言うワケじゃないのよ!

って

大正ロマンが
言い返しているけれど。


…そんなコト
自分で言ってて

哀しくないのかな。


好きなヒトの子どもなら
産みたいと思うのは
自然なコトだし

ましてや
後継ぎにするチャンスが
あるというのなら

願ってもないコトじゃ
ないのかな。


「アナタの得意な占いで
将来性のある子どもでも
見つけてきて

養子にでもした方が

病院だって安泰でしょう」


…あの穏やかな先生が

チクリ、と
嫌味を言ってたりして。


何だろう。

この空気ッ。


「先生は
アンタ達の所有物じゃ
ないんだから

いい加減、気づけよな!」