スプリング♂010
「僕が…恐い?」
…物凄く恐いですッッ!!!!
「…トーコちゃんのカラダは
正直だね」
…それは絶対ッ
気のせいだと思われッ。
「……」
先生のその目は
まさにッ
ヒツジを目の前にした
オオカミですッッ!!!!
私のヒザに掛かった
先生の手が
私の制服のスカートを
邪魔にしてッ。
ひええええええええッ。
あまりの衝撃に
カラダが固まって
しまいますううううう。
「このヒザ小僧の怪我
どうしたの?」
え。
「トーコちゃんが
興奮しすぎて
血が逆流したのかな」
先生は私に
自分のスカートを
握らせると
おもむろに立ち上がる。
…私は
自分のヒザの
かさぶたになっていた
トコロから
新たに
血が滲み出しているコトに
ようやく気がついた。
先生が
飾り棚から持ち出してきた
金色の縁取りが派手な
白い飾り箱。
ふたにはメデューサの
顔がデザインされていて。
…箱が開くまでは
まさか
それが救急箱だとは
想像もしなかった。
保健室で見かけるような
オレンジ色の
ガラス容器さえ
なんだか
他のモノに見えてくるから
不思議だ。
先生には
何度も傷口を
縫って貰っているけれど
それは
病室だから、で。
まさか
マンションの1室での
簡単な治療でさえ
処置用の手袋を
するなんて。
「大袈裟だって顔してるね」
でも
血液や粘液って
いろんな伝染病を貰う
危険があるから
恐いんだよ、って
先生のセリフの方が
恐いですッッ。