「あらッ!
タカヒロってゆ〜
優秀な医者が
バックにいるから
安心して
新人くんの実験台に
なったのにッ」
「よく言うよ」
「オンナのボディーを
デザインさせたら
タカヒロが世界一だ、って
みんなが言ってるわ」
…オンナに対する
この美意識の高さが
オンナ選びのハードルを
上げてしまって
先生をゲイの道へと
ひた走らせて
いるのだろうかッ。
テツオさんは
先生の膝の上に半分
カラダを預けるようにして
先生の飲んでいたコーヒーを
奪い取ると
「これブルマンでしょ。
カフェオレにするなんて
勿体ないの」
私のカップの中に
残っている絵を見つけて
苦笑する。
「ブルマン好きの
セイくんが見たら
思いっきり
冷たい目を向けられるわよ」
「…それも一興」
テツオさんの指摘に
セイが怒り狂うのを
見るのも楽しい、と
言わんばかりに
思わせぶりに
笑って見せたから…。
「……」
私はココロの中で
手を合わせながら
カフェオレの中の
かわいい文鳥の絵を
飲み込んだッ。
セイが来るまでに
飲み干したカップを洗って
証拠隠滅を図ろうと
私が
立ち上がろうとした瞬間。
「セイくんなら
ここへは来ないから
焦らなくても大丈夫よ」
「!?」
テツオさんのひと言に
私と先生が
同時に顔を上げてッ!!!
「なッ何でセイのコトッ
テツオさんが
知ってるんですかッ!?」