先生のひと言に
私とテツオさんは
手を取り合ったまま
気絶するフリをしたッ。
…セイッ。
いくらなんでも
やりすぎだよおおおおおッ。
与えられた屈辱は
倍返ししなくちゃ
気が済まない。
その気性は
よく知ってはいるけれどッ。
まさかここまで
常識外れなコトを
しでかすなんてッッ。
「…どこも不況だから。
未成年が
高級ブティックで
ツケ買いしても
回収できると思ったら
平気で
売っちゃうんだよね〜」
テツオさんの
ちいさな声に
私はそっと目を開ける。
「こうやって
確認の電話を入れてくるだけ
良心的な時計店かもッ」
そうだよねッ!
七百万なんて時計
お金もカードも持たない
未成年に
簡単に渡したりは
しないよねッ。
テツオさんのひと言に
七百万円分だけ
安堵したのにッッッ!!!!
「…その時計、買いますよ。
僕が支払いますから
それ、渡してやってください」
ってッ!!!!!
先生が
電話の相手に
まさかのO.Kの許可を
出していてッッ!!!!!!
「あうあうあうううううッ」
あまりの衝撃に
コトバも出ないッッ。