”豪華”に
焼かれる???
…お金持ちの発想は
よくわからないッ。
だけど。
このヒトって
本当に大丈夫なんだろうか。
セイといっしょで
外面がいい分
抑圧されているエネルギーが
おおきそうで。
…何か嫌な予感がする。
今、セイに
逢わせるべきでは
ない、って
アタマの中では
わかっていても
足止めさせる
いいアイデアが浮かばないッ。
「お腹が痛いッ」
「……」
「頭痛もしますッ」
「……」
「ああッ、持病のシャクがッ」
ちょっと
おおげさに苦しんでみるッ。
「…トーコちゃん。
喉元を押さえながら
言ってるけど
”シャク”って
どんな病気か知ってるの?」
私が急病を装っても
相手は
プロのお医者さまでッ。
「”シャク”って言うのは
胸部から腹部の周辺に起こる
痛み全般のコトなんだけど」
…くそッ。
ついてないッ。
「…ほら
もうそこに店の看板も
見えてるから」
先生が
アゴをしゃくり上げて
信号2つ程先の
高級ブランド街を
指し示した。
…ああああ〜。
いいアイデアも
浮かばないまま
ここまで
来ちゃったよおおお。
先生が電話で口にしていた
高級ブランドの
お店のロゴマークが
目に入ってくる。
「ああ。
あのハイヤーに乗って
セイくんはブランド街を
豪遊しているようだな」
「ハッ、ハイヤー!?」