先生が黒塗りのハイヤーを
指さすと
ご親切にも
「お察しの通りでございます」
店員さんも
正直に答えてくれててッ。
「誰の契約のハイヤー?」
先生がさらに
突っ込んだ質問をすると
「まるで尋問だな」
聴きなれた声が
聴こえてきた。
「よお。先生。
えらく
待たせてくれるじゃん」
十数段ほど続く階段の上。
店のガラスドアに
体重を掛けるようにして
ゴージャスな毛皮に包まれた
セイが
映画のワンシーンのように
立っていて。
「…そのボルサも
買ったんだ?」
帽子なんか買ったって
聴いてないぞ、って
先生の目が輝いててッ。
「ふんッ」
それがどうした、と
言わんばかりに鼻で笑って
セイが投げた帽子を
先生が受け止める。
「……」
私には
目を合わそうともしないで
セイは店の奥へと
消えて行って。
先生が
階段を2段飛ばししながら
その後を
足早に追いかけていった。
…セイ?
いつもなら
私のコトを心配して
私の元に
一目散に飛んでくる
セイだったのに。
セイ、怒ってる…?
「……」
セイにとって
まさに自分こそが
最大の裏切り者
だったのだ、と
今頃、気づいても
もう、遅かった。
先生のベッド♪♪♪
スプリング♂012
≪〜完〜≫
この作品をお読みになった
感想をお寄せください。
下記の感想の中から
ひとつ選び
【いいね!】ボタンを押すと
お楽しみスペシャル画像が
ご覧戴けます。
絵柄は予告なく
気まぐれに更新されます。