「……」
「……」


…宅配便は時間が命って
ゆ〜けどさッ。

ひとり乗り込むのくらい
待ってくれたって
いいじゃないッ。


と、ココロの中では
怒っても

「…すみません」と

ヘコヘコしながら

エレベーターに
乗りこんでしまう私って

とってもとっても日本人ッ。


キャップを目深に被った
宅配便のオジサンの
口元が

不機嫌に歪んでてッ。


…態度悪いぞッ。


エレベーターの
ボタンの前を陣取っていてッ。


「…9階をお願いします」

「……」


返事もなしかいッ。


「あの9階を…」


私の2度目のお願いに
宅配便のオジサンは

エレベーターの
ボタンの前から
カラダを少しズラして


ボタンの点灯を
私に確認させる。


…何だ。
同じ階で降りるんだ。


もう押してますよ、って
どうして口を利こうとも
しないんだッ。


必要以上に
私に背中を向けて
立っているのも

私への
不愉快オーラを出している
つもりなのかッ。


「……」

「……」

沈黙が
なんて息苦しいッ。