私はちょっぴり期待して
呼び鈴を押す。


変なの。

ママのコトとか
テツオさんのコトを
思い出すと

必要以上に
チカラが入っていた
カラダや顔が緩んでくる。


「あれ?」

ピンポーン。

「……」


…出ない?


ピンポーン。


ピンポン
ピンポン
ピンポーン!!!!!


シーン。


「うッそお…」


…もしかして

テツオさん
いない、とかッ!?


寝ちゃってるとか?


洗濯してたり
掃除機かけてたりして

ベルの音に
気づいてないとか?


ヘッドフォンで
音楽を聴いてるとかッ?

ゲームがいいトコロで
手を離せないとかッ!?


「そうだ!」

いくらなんでも
ケータイを鳴らされたら

バイブで気づくよねッ!


私は
制服の胸ポケットから

ケータイを
取り出そうとして

「!!」

初めて
ケータイをどこかに
置き忘れてしまっているコトに

気がついたッ。


「…先生のソファーで
メールの受信を
確かめていたときだ…!」