私は何も
見ていませんッ、って

オジサン達に背中を向けて

知らんぷりをするッ。


私はこのマンションの
住人ではありませんからッ。

しゃべったりなんて
当然しませんしッ。


そう言ってあげた方が

この場合は
いいんだろうかッ。


背中に痛い程
視線を感じているのですが

エレベーターは
まだ到着されないので
しょうかああああ。


「お嬢ちゃん」

「ひッ」


突然肩を掴まれて

心臓が止まるかと
思ったッッッ!!!!!!


…恐る恐る振り返ると

スパンコールの
オバサンの顔が

私のすぐ傍にあってッ!!!


「…何を見たのかしら?」


オバサンの化粧が
濃いッ!!!

違うッ!


恐いですううううううう。



近くで見たら
結構歳がいってるカンジで

シワの中に

白い粉が
たくさん溜まってますッッ。


「何にもッ見てませんッ」


「…だったら

どうして私達に
背中を向けたりして
いるのかしら?」