スプリング♂016


「熱つッ、つ、つつ…うッ!」

タバコの火を
手の甲に落とされて

私は思わず声をあげる。


「先生!
女子高生をからかっちゃ
ダメですよ!」

電話を終えたメガネっこが

やさしく
大正ロマンを
いさめているけれどッ。


「アナタッ。

この私に
意見するつもりッ!?」

自分の立場を
わきまえなさい、って

大正ロマンは
その不機嫌の矛先を

今度は
私からメガネっこに
向けると

「…スミマセン」

メガネっこが
気まずそうに

カフェもどきの部屋を
出て行った。


大正ロマンとふたりきりッ。


「アナタも
タバコの灰が落ちたくらいで

大袈裟な声を
あげちゃって」


被害者ぶるのが
お上手ね!、って

「ふうう〜〜〜〜ッ」


私の顔に

わざとタバコの煙を
吹きかけるッ。


「…ゴホッ」

…オコチャマなのか。
意地悪なオトナなのか。

単に社会性がないだけの
悪気のない”天然”なのか。


区別がつきにくいだけに
タチが悪いッ。


あのメガネっこに

苦言するスキを
与えているトコロなんかを
見ていたら

ただの恐いだけの
高慢・独裁者でも
なさそうだけど。


大正ロマンの
機嫌の波が激しいのか。

それとも単に
メガネっこが空気を読めない
学習しないタイプなのか。


オンナ同士の
上下関係って

本当にわかりにくいッ。