「いつものカップが
見当たらなかったので」

メガネっこが
言い訳しながら

コーヒーをテーブルに
並べていった。


「まさか
割っちゃったんじゃ
ないわよねッ!?」


大正ロマンの眉間に
シワが寄りッ

ただでさえ恐い顔が
ますますオカルト
していってますッ。


「…ゴミ箱の中も
一応確認したんですが…」


「家政婦はどうしたのッ?

まだ着替えが
終わらないのかしらッ」


「…それが」


メガネっこが
言いにくそうに口籠る。


「何よッ!
ハッキリ言いなさいッ。

私に隠し事をしたって
占えばすぐにわかるコトよ!」


大正ロマンが
メガネっこの
煮え切らぬ態度に
苛立っていた。


「家政婦の姿が
見当たらないんですよ」

「ふたりとも?」


「ひとりは

熱があるので
早退します、って

昼過ぎに
私にケータイに
連絡があったんですけど」


「もうひとりはッ!?

さっき緑色の
趣味の悪いお洋服を着ていた
オバサンがいるでしょッ!?」


「…それが

どこにも
見当たらないんです」


「更衣室じゃないの?」

「見ましたけど」

「トイレは?」

「声を掛けてみましたけど」

「何か荷物も靴もないみたい
なんですけど…」

…って。

何か嫌な予感がするのは
気のせいでしょうかッ。