「…まさかッ!」
大正ロマンが
すっくと立ち上がるッ。
「先生ッ!?」
「アナタは
ついてこなくていいわッ!」
凄い形相で
メガネっこを睨みつけると
大正ロマンは
カフェもどきのドアから
出て行って。
今度は
メガネっことふたり
取り残された。
「…いつも
あんなカンジなんですか?」
恐る恐る、メガネっこに
訊いてみるッ。
「…あんなカンジか?、と
訊かれたら
あんなカンジだ、としか
言えないけど…」
メガネっこが
カウンターの中から
クレヨンみたいな
補修材を取り出してきて
タバコの焦げ跡を
修復していった。
「…お手数、お掛けします」
「いえいえ。
いつものコトだから」
えッ。
「灰皿が横にあっても
先生ってば
いつもこうなんだから」
このテーブルの焦げ跡ッ
「歴史上の人物がつけた
焦げ跡じゃないんですかッ」
「……」
「……」
「…そうよ」
ってッ。
「今、確実に
間がありましたよねッ!?」
「あの先生だって
死んだら歴史上に残る
おヒトですからッッ」
ウソじゃありません、って
懸命に私に訴えて
大正ロマンの発言に
フォローを
入れているけれどッ。
「…そこまで
尊敬してるんですか」
「そりゃ…!」