アナタはさっき

わたしが合いカギを
持っているんでしょう、って

疑ってかかって
いましたよねッ。


「先生!

犯人が分かっているのなら
警察に被害届を!」


もう警察でも何でも
連れて行ってくださいッ。


いっそ、その方が
スッキリしますッ。


なのに。


「いいの。
騒ぎにはしたくないから」


着物はそのうち
返ってくるでしょう、って


あやふやなまま

このまま問題を放置して
しまうんですかッ!!!!


「お告げが
あったんですかッ!?」


メガネっこが
大正ロマンのコトを

神々しいモノを見るような
眼差しで

まぶしく
見つめていますけどッ。


そのお告げとやらは
コロコロと変わるモノ
なんでしょうかッ。


「トーコさん。

アナタ、犯人に
ハメられたのよね?」


え。


「さっきの家政婦に
ポケットの中に
押し込まれたんでしょう」


「えええええッ!!!!?」


あのガリガリの
緑のオバサンがッッ。


今の今まで

大正ロマンの言うコトは
眉ツバモノだ、と
思っていた私でさえ

そのセリフは
あまりにも衝撃的で。


しかも多少
身に覚えもなくはないッ。


考えてみれば

不倫の現場を
見られたから

慌ててたのかとばかり
思い込んでいたけれどッ。


ふたりが
夫婦だというコトは

私は別の何かを
目撃してしまっていた、と

ゆ〜コトになるッ。