のにッ。


ガキイッ!!


物凄い音がしたのが早いか

私に何かが
滑り込むようにして
覆い被さったのが早いかッ。


目を開けると

ちいさな木の破片が
辺りに飛び散っていて。


「…そこまでに
しておいて貰おうか」


…その声に

顔を上げると。


「セイッ!!!!!!」


私のカラダを
庇うようにして

セイが大正ロマンを
睨みつけていた。


「…コイツを
甚振ってもいいのは

この世で
俺、ただひとりだ!」


乱暴は
遠慮して貰おうか、って


セイは自分についた
木の破片を

優雅に払って。


「セイ、セイ、セイ、セイッ
セイイッッ…!!!!!!!」


絶交されているのも忘れて

私はセイの背中に
しがみつくッ。


「毛皮に鼻水をつけるなッ」


セイが私のアタマを
長い腕で

自分から引き離すと


セイは華麗に立ち上がった。


「大丈夫?」

私に手を差し伸べたのは
ねずみ〜らんどの先生で。


「…自分で立てますから」


先生の親切を拒絶した。


「…タカヒロさん。

勝手にウチの中に
入って来るなんて

いくら家族同然とはいえ
失礼じゃありませんコト?」