先生はドアから
私のカバンを見せると

また部屋の中へと
消えていく。


「…焼却処分、って」

「やるだろうな。
あのヒトなら…ッ、おいッ」


セイの話を遮るようにして

私はセイのカラダに
タックルを掛け

そのままイッキに
アメフト選手のように

先生の部屋のドアまで
押し出したッ。


「ほら、入って」

気配に気づいた先生が
ドアを素早く開ける。


セイと私を玄関に押し込むと

ガチャ、ガチャンッ!


「……」


ご丁寧にカギだけでなく
チェーンまで掛けてしまった。


…何か凄く

嫌な予感がするんですけどッ。


「…荷物は?
さっさと渡せよ」

「トーコちゃんのカラダを
まずは診察してからだ」


先生は
凄むセイを制して

私の腰を抱くようにして

私を部屋の奥へと強引に
連れ込んでいく。


「先生ッ、私は…ッ!」

自分のカラダをねじって

先生の腕から
逃れようとした

その瞬間。


私は
自分の視界に入ってきた
”ソレ”を見て

自分の目を疑った。


「…どうして
こんなトコロに

コレがあるんですか?」


それは

台車に乗せられたまま
そこにあって。


「宅配便の格好をした
オジサンと

緑の服を着たオバサンの…」


あの疑惑の箱が
ここにあるッ!!!!!!


「緑のオババとは
コヤツのコトかえ?」


…またしても
聞き覚えのある声に
振り返るとッ。