切っ先の尖ったステッキが
目の前に飛び出して来てッ。

「!!!!!!!!」

…心臓が止まるかと
思ったッッ!!!!!!


「仕込み杖じゃ。
そんなのも知らんのかッ」

くあははは、と豪快に笑う

先生のおじいちゃんッ。


…こんな危険なジイサマに
なんてモノを持たせるのかッ。

販売責任者の
良識を疑いますッ。


「タカヒロッ。

コヤツらをいつまで
こうしておく気じゃッ」


おじいちゃんの指さす
先には

背もたれがやたらと高い
イスを背中合わせに
合体させるようにして

さっきの
宅配便のオジサンと
緑色のオバサンがッ

2つの手錠で
お互いのカラダを
繋がれていてッ!!!!


「…どういうコトですか?」


動揺を隠せない私に


「見たまんまだろ」


セイは
面倒臭そうに答えると

「先生。俺の荷物はッ!?」

苛立ち気味に
部屋のあちこちを
探し回っている。


「トーコちゃんを
タクシーに乗せた後

念の為に
テツオに連絡を入れたら」


誰かに
呼び出されたとかで。


「もう部屋を
出ちゃっているし

引き戻れない、って
言われちゃってね」


取りあえず
マンションの管理人室に
電話して

「小鳥みたいな女子高生が
訪ねてきたら
マンションに
入れてあげて」と

頼んだらしいのだが。


「ゴマフアザラシに
似た子でしたけど

よかったんでしょうか、って

電話が折り返し
掛かってきたんだよな」

ってッ。

セイってばッ

そんなトコだけ
話に入って来ないで欲しいッ。