…いつものセイなら

さっさと電話で
自分のケータイを鳴らして

場所を特定しそうな
モノなんだけど。


それをせずに

ワケもわからないトコロを
探し回っているのは

やっぱり
私のコトが気になるから…?


「部屋を破壊するのだけは
勘弁してくれよ」


そうセイに頼みながら

先生は
宅配便のオジサンと
緑色のオバサンに
近寄って

手錠のカギを取り外す。


「…そいつら
解放してやるつもりッ!?」

セイが厳しい視線を
先生に投げ掛けると


「聞くコトを聞いたらね」

先生は
宅配便のオジサン達の
カラダを自由にした。


「ウチのマンションの
セキュリティーは完璧でね」


宅配業者が
マンションに入るときは

事前に集配所から連絡が入る
システムで。


不審者がきたら

セキュリティー会社の
ガードマンがくるまでの
15分間。

そのまま泳がせて


「目的を確かめた後

捕まえるってコトに
なってるんだけど」


不審者が私といっしょに
エレベーターに乗って

同じ階に下りたって話を
管理人さんから聞いて

慌てて先生たちは
マンションに
戻ってきたのだという。


ちょうど
電話をしているときに

大正ロマンと
メガネっこが

管理人室の前を
通りがかったのだ、という。