「トーコちゃんを
保護しにいこうとして」
大正ロマン達が乗った
エレベーターが
降りてくるのを
管理人が待っていたら
「このヒトが荷物を抱えて
降りてきたってワケだけど」
こんなモノを
無断で持ち出して
どうするつもり
だったんだろうね?、って
先生が
箱をおおきく開いて
中から
着物とカップを
取り出した。
「それって…!」
大正ロマンが
見当たらないって
探していた
カップと紬の着物ッッ!?
「…それは
元々、私のモノで…!」
自分の母親が
嫁入りのときに
持たせてくれた
大事な宝なのだ、と
緑色のオバサンが
首筋を筋張らせながら
所有権を主張する。
「…でも
あのヒトに
売っちゃったのなら…」
いくら自分のモノだ
と言い張ったトコロで
世の中では通らない。
「騙されてたのよッ。
あのオンナにッッ!!!!!」
緑色のオバサンは
怒りに震えていた。
「…借金苦から
解放してあげる
私にまかせなさい、と
やさしいコトバを掛けていた
その裏で…!」
「自分の占いの顧客の中の
ウチの会社の株主に
あの会社は危ないから
株を売ってしまいなさい、と
イッキに株を売りに
出させていたんです…」
宅配便の格好をした
オジサンが
オバサンの背中を
擦りながら
そう、続けた。
「自社株を株主に
イッキに大量に手放されちゃ
株価が大暴落して
もともと体力のない会社なら
まあ倒産は
まぬがれないだろうな」