スプリング♂019


「…ウチの姪っ子が
先日、結婚したんですよね」

オジサンが
身の上話を始める。


「あれ程、結婚相手に対して
高望みしていた子が

ずいぶん冴えないオトコと
結婚を決めたな、とは

思ってはいたんです」


結婚式で
大正ロマンからの
祝電が読み上げれていて

もしかしたら、と

挙式後
新婦の親を問い質したら。


「この日は運命のヒトと
必ず出逢える運があります」

本来なら
セレブしか参加できない
パーティーなんですが、と

前置きをして。

私の紹介というコトで
なんとかしましょう、って

謝礼を
たくさん要求されて。


セレブと結婚できるのなら、と


やれ、プロのヘアメイクだ。

一流のスタイリストだ。

スタジオで
写真を撮りましょう、って。


大正ロマンの薦めのまま

お金を惜しむことなく
つぎ込んだ。


だけど


いざパーティーに参加しても
運命の出逢いドコロか

誰とも話すら出来なくて。


大正ロマンに訴えると


「実はあのパーティーで
アナタを見染めた殿方が
おりますのよ」


冴えないオトコを
ひとり紹介してきた。


「この男性は

30年後には
アナタの力で大成功をして
大出世しています、と

まるめ込み

結婚を決意させて」


結婚式の式場。
婚約指輪に結婚指輪。

「縁起のいい店から
買いなさい」

お金が掛かるモノは
全て大正ロマンが段取った。