先生が
隣りの部屋のドアを開けて
中に入るように、と
私の背中を押そうとして
「このヒト達はどうするの〜。
釈放しちゃうんですかあ〜」
セイがおおきな声で
先生の足を止めた。
「ああ、だけど
優先順位はこちらの方が
高いからね」
先生の余裕然とした様子に
「……」
セイがの眉間に
ふっかいシワが寄るッ。
「もうお引き取りくださって
結構です。
何か他にも
お話があるようでしたら
こちらに」
先生は自分の名刺を
オジサン達に差し出した。
お互いの顔を見合せながら
おずおずと
オジサンが名刺を受取ると
「この荷物はどうするの?」
セイが
箱を開けて
中からファイルを取り出して
先生に見せているけど。
それは…。
「…興信所にも
相談者の身の回りについて
事前にいろいろ
調べさせていたみたいだね」
セイが
興信所のマークが入った
書類を見せる。
「……」
事前に調べておいて
相談者には
さも占いの能力で
当てたように見せかけて
その力を信用させる。
「ホット・リーディング。
占いの世界では
相談者の猜疑心を
取って貰う為に
たまにそういう技術を
使う者もいる」