セイはそれを”技術”と
言ったけど。


自分の周りを探られたり
されてるってだけで

充分に不愉快なコトで。

相談者が知ったら

そんなの
絶対許せないと思う。


「……」

大正ロマンだって
それがわかっていたから

大事な着物が盗まれたと
わかっても

警察には知らせようとも
しなかったのは


証拠書類が警察に渡って
公にされるコトが
恐かったからに違いなかった。


自分に負い目がなくて
技術だと言い張れるんなら

きっと
警察に被害届を
出していたハズで。


「今どき

外に流出して
疑われかねないようなモノを

紙に書いて
保存しておくなんてさ」


セイが小バカにするように
鼻で笑うと


「…あのヒト。
パソコンが使えないからね」

先生が複雑な顔を見せる。


「カリスマと
言われているワリには

口の堅い
信用できるスタッフの
ひとりもいないのかね〜」


セイの指摘は
もっとも、だった。


…大正ロマンは

自分を慕ってくる
ヒト達さえも

裏切ってしまっているから。


カリスマも

占いの力があると
信じられていたからこそ、で。


…メガネっこの家族だって

こんな事実を
知ってしまったら。



「だけどさ〜」

セイの追及はまだまだ続いて。


「そうなると

スタッフも
信用していないようなオンナが

家政婦ひとりに
留守をまかせていたコト自体

何かすっごく
不自然じゃない?」


あ。