その宅配便の格好で

連れ立って
マンションを出るのは
目立ちますから、と。


先生のきめ細かな配慮。


確かにこのふたり
このまま返してしまったら

こんな理不尽な世を儚んで

最悪な行為に及ぶコトだって
考えられる。


「この子の診察が終わるまで

コーヒーでも飲んで

少しだけこの部屋で
待っていて貰えますか?」


「では!

その間
ワシがタカヒロに代わって

その子の診察をして
しんぜようッ♪」


シンミリとした空気を
かき消す

嬉々とした
ジイサマの声…ッ。


「……」
「……」
「……」


「タカヒロはその方達を
しっかりお送りしてまいれ。

この子のコトは
この大先生に任せておけい」

かっはっは、と

セイと先生の間を
かき分けるようにして


おじいちゃんが
私に近づいてきてッ。


セイの手から手錠を奪うと

私の腕を掴んで
手錠を掛けたッ!!!!

「なッ!!」



逃げ惑う私を
元気に追いかけ回る
おじいちゃんッ。


「よいではないかッ!
よいではないかッ!」


ぐるぐるぐるぐる

オジサンとオバサンの周りを

おじいちゃんと私が
追いかけっこしてッ。


「…いい加減にしろよ!」


このエロジジイ、って

セイがおじいちゃんの
毛皮の裾を踏みつけるッ!