…先生が隠していたんじゃ
なかったんだ。
「…セイの荷物は?」
「ああ、これ?」
セイが
ブランドの紙袋を
私に見せて。
「駐車場の車のトランクに
入れっ放しになってた」
ってッ。
「じゃあ、何で
シューズ・クローゼットに
カギなんか
掛けていったんですかッ」
私の訴えに
セイと先生は
お互いの顔を見合せて
笑ってるッッ!!!!!
「トーコちゃん。
あの数字はね
ただのアクセサリーで
ドアの飾りなんだよ」
え。
「ドアの取っ手の部分の
ボタンを押しながら
開けるタイプなの
やっぱりトーコは
気づかなかったな」
セイが私を小バカにしたッ。
「カギが掛かってるんだから
絶対にここに荷物が
隠してあるんだろう、って
思い込んで
トーコちゃんは
このカギの数字合わせを
夢中になってやっているに
違いないから、って
セイくんが」
「俺が言った通りだった!」
セイが自慢げに
ソファーの上で
ふん反り返るッ。
「4桁の数字を
根気よく
合わせていこうなんて
その気の遠くなる確率を
考えたら
ふつうは諦めるモノだけど」
トーコちゃんは
ガッツがあるな、と
先生が笑いながら
キッチンで手を洗っててッ。
「トーコは確率の計算が
出来ないから
数字が4つしかないから
むしろ楽勝だ、と思って
始めたんだよな?」
むむむむむッ。