ドアにタックルして
痛むカラダを労わりながら
ゆっくりと
部屋中を見回ってみる。
…みんなして
オジサン達を
送りにでも行ったのかな。
「私の診察が
最優先だ、とか
言っておいて」
先生も
いい加減なんだからッ。
はああああああ。
何だか
すっごく疲れたッ。
「…どうして
先生の結婚問題に
私がここまで
振り回されなきゃ
いけないんでしょうかッ!!」
コブシを作って
憤慨してみても
ジャラッ。
腕についた手錠が
自己主張するだけでッ。
…なんか空しいッ。
「まずは手錠を外してッ」
荷物を探して
さっさと帰ろうッ!
私は
手錠のカギを探し始めた。
「…確か
テーブルの上に置いていたと
思ったけれど…」
テーブルの上には
クリスタルの置きモノが
ひとつ。
「……」
クリスタルの置きモノの中も
覗いてみたりしたけれどッ。
「…ないッ」
元々カギが入っていた
クローゼットの中の箱にも
「入ってないッ」
…そう言えば
手錠だってもうひとつ
あったハズなのに
見当たらないのは
「…まさかとは思うけどッ」
セイか先生が
手錠といっしょに
持ち出しちゃったん
だろうかッ。