「…最近ちまたで大流行りの
ブレスレット、とでも

言い訳するかッ」


我ながら
無茶な、と思ったけれど。

いつまでも
手錠ひとつに
構ってられないッ。


「荷物、捜索しなきゃ」

私は
ケータイを
置き忘れていったハズの
ソファーの傍に近寄った。


「あった、あった!」


私のケータイ!

これの存在には
さすがの先生も

気づかなかった、と
見えまするッ。


先生に貰った
紫外線防止用テープも
しっかりと残っていて。


…先生のやさしさを
思い出して

ちょっと複雑な気分だ。


自分のケータイで
セイのケータイを
鳴らしてみる。


「あれ?」

私のケータイからは
呼び出し音が
聴こえているのに


「…セイのケータイの
音がしない」


…セイ。

ケータイは先生に
返して貰ったのかな。


だとしたら


「困ったぞッ」


荷物が隠されている場所の
見当が

全くつかないッ。


この広い部屋の
どこかに隠してあるハズの

私とセイの荷物。


先生は
私のカバンを隠すのに

そんなに時間はなかった
ハズだから…。


「一番怪しいのはッ」


私は玄関周りを
丹念にチェックするッ。


怪しすぎる
シューズ・クローゼットッ!


カタッ、カタタッ。


何故か
カギが掛かってるッ。


「…怪しいッ」

怪しすぎだったッ。