スカートを
脱がすという
とんでもない先生の行為には
触れもせず。


ううん。

先生と言う存在なんか

眼中にない、と
言わんばかりで。


セイは
先生の挑発的行為に

”無視”といういう形で

まさに仕返ししている。


「……」

先生はそんなセイを

黙ったまま

恐いくらい
真っ直ぐに見つめていて。


その視線に
気づかないフリをするのも
大変だった。


「俺といっしょに
出掛けるときは

俺が買ってやった
下着をつけろ、と
あれ程言っておいたのにッ」


セイの怒りとイヤミの
エネルギーは

衰えを知らずッ。


「今日は朝
家にセイがいなかったしッ。

まさかいっしょに
行動するなんて
思ってなかったからッ」


「俺の目がないトコロで
気を抜くなッ!」


もし、事故にでもあって
病院の人間に見られたら

失笑モノだ、って
責めてますけどッ。


セイの”もしも”は
遭遇する確率が
非常に少ないかと

確率計算できない
私にだって
断言できますッッ。


第一ッ

「病院のヒトは
怪我人の毛糸のパンツを見て
笑う余裕なんてないと
思うしッ」


「…いや、たまに
笑いを押し殺して
治療しているときもあるよ」


先生が真面目な顔で
私達の会話に
初めて入ってきたけれど…。


「……」
「……」
「……」

その場の空気が
イッキに固まってしまう。


「…毛糸のパンツ脱ぐから」

私は
そうひと言
セイに断ると


先生の前に落ちていた

自分のスカートに
手を伸ばした。


のにッ!!!


「…診察がまだだよ。
トーコちゃん」