スプリング♂022
病院へ
レントゲンを撮りにいった
セイ達を待ちながら
ねずみ〜らんどの先生の
マンションで
ひとりお留守番するコトに
なったけどッ。
ソファーに座って
時計とにらめっこしていても
さっきから
溜息しか出てこなくって。
落ち着かない。
目の端に
セイの破壊した
クリスタルの置物や
片手鍋が
目に入ってきて。
「…勝手に片づけても
構わないよね?」
私は部屋の中
掃除機を探し回った。
「あれ?」
…掃除機どころか
掃除関係のモノすら
見当たらないッ。
ドア越しに
トイレの中を覗いても
やっぱり
タワシひとつ置いてなくてッ。
…真黒な石の壁と床。
正面の壁には
金色の額縁がついた
鏡が3つも掛かっている。
金色の
ペーパーフォルダーの上
ガラスの棚にある
金色の一輪ざしには
相変わらず
真っ赤なバラが
飾ってある。
「…オトコのヒトの
ひとり暮らし」
さすがに
独身貴族はマメだよね。
「…トイレ
使わせて貰いますよ〜」
中に入ると
待ってました、と
言わんばかりに
黄金の便器の蓋が
勝手に開いてッ!!!
「…超ビビったッ」
…前に
このマンションに
来たときはこんな機能は
なかったぞッ。
便座に腰を下ろすと
目の前のまっ黒なドアの
でっかい
黄金のメドゥーサが
こっちを睨んでてッ。
「…よくもこんな環境で
用が足せるよね」
便器には
スイッチが
いろいろあるけれど。
「…下手に触って壊したら
大変だもんね」
カラカラカラ。
手に取る
トイレットペーパーも
真っ赤っかなんて。
…落ち着かないッ。