たいして
こだわりのないヒトなら
気にもならないのかも
しれないけれど。
先生のこの個性ッ
「私には生理的に
受けつけられませんッ」
だけど。
…大正ロマンなんか
ここまで
自分と趣味が違う人間を
よく好きになれた
もんだよね。
先生のコト
いわゆる自分色に
染め変える自信でも
あったのかな。
…大正時代。
古き良き時代の
日本男児。
確かに先生は
そっちの方がまだ
似合う気が
しないでもないッ。
「できるコトなら
そっちの道に
引き入れてくれた方が…」
アタマの中で
ノーカラーの
白い洗いざらしの
綿シャツを着た先生に
寄りそう
大正ロマンを
想像して。
「いかんッ。
母親とその孝行息子の
図しか思い浮かばないッ」
自分の想像力の
残酷さを責めながら
床を傷つけないように
台車を引き入れて
私は
バスルームの扉を閉める。
「おっと!」
外出するときは
電気を消さないと!
洗面所の電気を探して
スイッチを切る。
「!!!!!!」
私は
慌てて電気を点けるッ。
「…信じられないッ…!!」