スプリング♂023


駅ビルの中の
大型文房具店。

テーブルの補修に使う
接着剤を求めて

広い店内を
ひたすら彷徨う。


たくさんの種類がある
接着剤。

どれがいいか悩んでいたら
店員さんが

「補修に使うなら
専用のパテとかの方がいい」

親切にアドバイスを
くれたけどッ。


「テーブルの材質は?」

そんなコトを訊かれても
わかりませんッ。

補修する材質によって
使う材料も
全く違うんだ、って

初めて知りましたッ。


「テーブルの補修、って
何がぶつかって
壊れたの?」

店員さんが
私に突っ込んだ質問を
さらにしてきてッ。


「…プライベートなコト
ですからッ」

見ず知らずなヒトに
そこまで話せるワケがないッ。


「何をぶつけて
ヘコんだのかがわかると

テーブルの硬度から
材質が推測できるんだけど」


「!」

店員さんの質問の意図を
初めて理解して

思わず赤面してしまうッ。


「…たぶんクリスタルの
これくらいの置きモノです」

「どのくらいの距離から
落っことしたの?」

「…棍棒のようにして
テーブルに
叩きつけたんですけど」


「……」
「……」

…このみょ〜な間に

私の額から
一筋の汗が滴り落ちたッ。