「…欠けたのではなく
ヘコんだだけなら

ヤスリで削って
調整した方が
よさそうなんだけど」


写真でも
あればなあ、って

店員さんが首をかしげる。


…そんなモノッ

撮影して戻ってくる
余裕なんて、ないッ。


「何でもいいので
万能系のヤツくださいッ」


「キレイに
仕上がらなくてもいいの?」

うううッ。


「だったら、コレなんか…」

粘土みたいに捏ねて
形を整えて固まるのを
待つだけだから、って

豆腐1丁はありそうな
ソレを差し出してきてッ。


「…それ。
量り売り…は無理ですよねッ」

わかっていたけど
口にしていたッ。


店員さんのオススメ通り

ポスターカラーではなく
油性のペイントマーカーを
購入して。

シメて全部で
3千円ちょいッ!!!!!!


「…先生、ごめんなさいッ」


ココロの中で
手を合わせ

ポケットの中の
タクシーのおつりに
手をつけるッ。


レシートを
空っぽのサイフに
突っ込んで。

買い上げた商品を片手に

文具店を飛び出した。