辺りはすっかり
暗くなってきていて
学校帰りや
会社帰りのヒトで
行き交うヒトも
ずいぶん早足になっている。
そんな
ヒトゴミをかき分けながら
マンションに向って
懸命に私は走った。
マンションに着いて
住人の誰かが
通りがかるのを待ってみる。
「……」
会社帰りの住人とか
学校帰りとか
少しは出入りがあっても
よさそうなモノなのに。
「何故に誰も
帰ってこんのじゃああああ」
こっちは
時間がない、って
いうのにッ!!!!
「…こうなったら
管理人さんに
助けて貰うしかないかッ」
痺れを切らした私は
管理人室の
呼び出しブザーを
思い切って押してみたッ。
ぐぐぐ。
監視カメラが
一斉にこっちを狙う
気配がしてッ。
『はい、管理人室です』
インターフォンから
管理人さんの声が
聴こえてきた。
「…留守番を
頼まれていたのに
うっかりカギを持たずに
外に出てしまって」
『……』
「あのッ!
ほらッ、私ですッ!」
私は自分の顔を
監視カメラに近づけた。
…小鳥のような女子高生、と
先生の使った表現を
出すべきか
正直、迷うッ。
さすがに
自分で自分のコトを
”小鳥”と表現するのは
気が引けた。
なのにッ。
『ああ!
若先生のトコロの
ゴマフアザラシちゃん!』
…違いますッ!!!!
思わず
眉間にシワが寄るッ。