マンションの扉が開いて
『どうぞ♪』
…スピーカーから
聞こえてくる
明るい弾んだ声に
悪意を感じますッッ。
それでも
何も気にしてないよ、って
オトナな余裕を
見せつけて
にっこりと会釈して
管理人室を通り過ぎようと
したのにッ!!!
「そこなオナゴッ!!!」
「!?」
おじいちゃんの声が
エントランス中に
響いたかと思ったら
私の襟首が
強い力で引っ張られるッ。
ガンッ!
「痛いッ」
後頭部を
どこかにぶつけて
一瞬、ふらついた。
「ワシを見捨てて
どこへ行こうと言うんじゃッ」
おじいちゃんのステッキが
私の襟元から外された
かと思ったら
「逃がしはせぬぞッ」
私の右手から
ぶら下がっていた手錠を
おじいちゃんに捉えられ
ガチャンッ!
おじいちゃんが
自分の左手に
私の手錠を
かけてしまってッ!!!!!
「これでワシ達は
身も心もひとつになったぞ」
かっかっか、と
高笑いするッッ!!!!
「やだ、これッ!」
引っ張っても
外れるワケもなくッ
「ひゃひゃひゃひゃひゃ♪」
エッチなおじいちゃんの
カラダが
近づいてくるだけでッ。
「何てコト
するんですかッ!!!」
私は右足で
おじいちゃんのカラダを
牽制して
1ミリでも
遠くに追いやろうと
頑張ってみるッ。