堪りかねた管理人さんが

「ナイショですよ。
実はこれ、外れるんです」


おじいちゃんが
繋がれたいた手すりが

スポンっと抜いてッ!!!


「それを
早よう教えんかッ!」


管理人さんのアタマを
おじいちゃんのステッキが
命中するッ。


「ほれッ、何をしとるッ!
部屋に戻るぞッ」


あっけにとられていた私の
手錠を引っ張るようにして

おじいちゃんは
管理人室を
強引に飛び出したッ。


「あわわっと、と、と!」

私は
おじいちゃんの着ていた
毛皮の裾を
踏みそうになって

危うく転びそうになるッ。


おじいちゃんは
私を引きずるようにして

ステッキと言う名の凶器で

エレベーターの
ボタンを押した。


「おじいちゃんッ!
あのね…ッ!」


ひと言抗議しようと
息巻く私に

おじいちゃんの凶器が
向けられてッ


「あの部屋には
大事なモノがあると
わかっていて

よくこんな無責任なコトが
できるモノじゃな」


「……」

…おじいちゃんの
マジなトーンに

何も言い返せなかった。


エレベーターの中

おじいちゃんの硬い表情は
変わらない。


「…お前さんをひとり残して
タカヒロ達は
どこへ行ったんじゃ」


「……」

そんなおじいちゃんの質問に
答えていいモノかどうか…。