スプリング♂024
「どうしよう…」
困った。
玄関にまで
書類を
運び出してきているなんて!
…きっと今
箱に入っていたハズの
紬の着物を
探しているんだよね」
紬の着物を探すのを
諦めたら
きっとこの荷物を
どこかに
持ち出し始めてしまうんだ…!
「これはタカヒロに
教えてやらんといかんじゃろ」
おじいちゃんが
自分のケータイで
先生のケータイを
呼び出した
ハズだったのにッッッ!!!!
その瞬間
けたたましく
鳴り出したのは
コトもあろうか
部屋の中の
電話の方でッッッ!!!!!
「おじいちゃんッッ…!」
私は慌てて
おじいちゃんから
ケータイを取り上げて
通話を切るッ。
「おおそうじゃった!
タカヒロは
いつも留守中は
電話を自分のケータイに
転送しとるモンじゃったから」
つい、ってッ!!!!
「…信じられないッ」
部屋の中の侵入者は
きっと今の電話で
警戒心を
強めたに違いなくてッ。
「…どうしよう」
管理人さんを呼びに
行っている間に
書類を
持ち出されたりしたら
困るけどッ
でも
このまま
おじいちゃんとふたりで
侵入者に立ち向かうなんて
絶対に不可能なのは
わかっているッ。
「もおおおおおッ」
私は自分のケータイで
先生のケータイを
急いで鳴らしてみたッ。