「……」
「……」
「……」
…何故出ないッ!!!
病院の中だから
繋がらないのかッ。
こういう一大事のときに
ケータイに出て貰えない
苛立ちに
パニックになりそうだ!
「確か私のケータイの
発信履歴に…」
先生の病院の
代表電話番号が…!
そこまで
思いついたは
よかったけれどッ。
「…留守電ッ」
業務時間外って
何なのよッッ!!!!!!!
連絡がつかないときとは
多かれ少なかれ
こ〜ゆ〜モンだッ。
わかっては
いるけれどッ!!!
そんな私をよそに
「…中の様子が変じゃぞ」
ドアの隙間から
部屋の中を覗き込んでいた
おじいちゃんが
冷静に事態を分析するッ。
「電話が鳴ったというのに
誰かが中で動いている
気配すらないようじゃな」
「え…」
私もおじいちゃんの
アタマの上から
中の様子を
そっと伺い見た。
「あれ?」
玄関に
靴がひとつしかない…?
しかも
「真っ白なピンヒール…」
ヒールの部分だけ
ヒョウ柄になっていて。
…あの大正ロマンの
履物にしては
何かおかしい。
大正ロマンじゃない女性が
代わりに書類を持ち出そうと
ひとりで
中に上がり込んでいるのか。
「…でも」
大正ロマンとしては
この書類の存在を
メガネっ子には
知られるワケには
いかないハズだから
…メガネっ子の靴でも
ないってコトだよね。
第一、あんな重い荷物を
運び出すのに
こんな細いヒールの靴に
わざわざ履き替えるって
ゆ〜のも
考えにくい。
でも。
だとしたら。
「中にいるのは誰なの?」
「タカヒロの
改造作品かもしれんッ」
え。