「オンナに
見せかけたオトコじゃよッ!
タカヒロの周りには
そんな怪しげな
オンナオトコが
ワンサカとおるわッ」
「……」
もしかして
その中に
私は入ってはいませんよねッ。
「ううむッ。
中で何をしとるんだかッ」
おじいちゃんは
ドアの隙間を必死で
開けようとしていますけどッ。
「…そんなヒトが
こんな書類を
持ち出してどうしようと
ゆ〜んですかッ」
「タカヒロを困らせて
気を引きたかったのじゃ
なかろうか」
「…それなら
中の書類を少しだけ
持ち出せば
充分なんじゃないでしょうか」
こんな重いモノを
全部運び出す理由には
なっていないと思いますッ。
「…お前さん」
私の疑問に
おじいちゃんの顔が
マジになった。
「おバカそうな子だと
思っておったが
案外、利口なトコも
あるんじゃのお」
何か
タカヒロが昔飼っていた
文鳥のようじゃ、って。
…もしもしもしッ。
文鳥並みの利口さ、って
けっして褒めては
いませんよねッッッ!!!
「相手は
オナゴひとりじゃ!
こっちはふたりッ」
「ってッ!」
おじいちゃんッッッ!!!
玄関のインターホンを
激しく連打して
「お〜いッ!
出てこんかッ!!!!
中にいるのは
わかっとるぞおおおおお!」
おじいちゃんが
激しくドアをけり飛ばすッ!