だけど。


し〜ん。


「…誰も出てくる気配は
ないですけれど」


「肝の太いヤツじゃなッ」


…侵入者は
どうして
反応をしないんだろう。


見えない侵入者像。

わからない侵入者の意図。


「…やっぱり
管理人さんを呼びに…」


「そんなコトをしている間に
犯人が行方をくらませたら
どうするのじゃッ」


でもッ…!!!


「管理人なんぞ
わざわざ呼びにいかんでも

窓のひとつでも
割ってやれば

警備員がみんなして
飛んでくるわいッ」


って!!!!!

そんな大騒ぎにしちゃっても
いいんですかああああああ。


おじいちゃんが
ぶんぶ、と
ステッキを振り回して

監視カメラのある
エレベーター前に
私を強引に連れ出してッ


狙いすましたかのように
観葉植物の鉢植えに
向かって

ゴルフスウィングのように
ステッキを
振り上げるッ!!!


「!!!!!」


手錠で繋がれた
私のカラダが
引っ張られッ…!!!


「うおッ!?」

ふたりバランスを崩して
その場に倒れ込むッ!!!


「おッ、おじいちゃんッ
大丈夫ッ!?」


「……」

「おじいちゃんッ!?」


「…お前さんッ
邪魔じゃなッ」


「……」

…ご老体の割に
骨も舌も
丈夫にできているらしいッ。


「ウチのチャイム
しつこく鳴らしてたの
アンタ達ッ!?」

「え」


…個性のある
ハスキーめなその声に

振り返ると


「何だ!

トーコちゃんと
大先生じゃないッ!」


「テツオさんッ!?」