「彼ったらね〜。

今日、初めてのデート
だったのに

今夜は帰したくない、って
積極的だったからッ」


ひとまず
彼を受け入れる為の
準備をしようと

このマンションに
戻ってきたの、と


頬染めながら
私に耳打ちされても

困りますううううううう。


「…全くッ。

タカヒロの部屋を
何だと思っているんじゃ」


おじいちゃんは
お年の割に耳もよくッ。


「あ〜ら!

大先生だって

毛はえ薬のサンプル品が
届く度に

いっつもここで
お試ししているの
知ってますよ〜だ!」


…もしもしもしッ。


「タカヒロの洗面所は
三面鏡があるし

何よりも明るいから

老人には
使いやすいんじゃッ」


こうやって
後ろもしっかり
塗れるんだ、って

実演は結構ですからッ。


「トイレに入って
いざ浣腸ってときに

玄関チャイム鳴らされて

ホント
焦っちゃったわよ〜」


…夜のお楽しみの前に
どうして浣腸が必要なのかは

あえて
訊きませんけれどッ。


「でもトーコちゃんと
大先生の組み合わせって

何かみょ〜よね」


「……」


「タカヒロと
セイくんは?」

いっしょじゃないの?

って。


「…実は」

そこで初めて
コトの一部始終を
説明した。


「セイくんは
タカヒロがついているから
心配ないとは思うけど」


テーブルの方は
心配よね、って。


…それは
どういう意味でしょうかッ。