「あのテーブル。
タカヒロの産みの母親が
嫁入り道具に持ってきた
テーブルじゃからな」
え。
「タカヒロがちいさい頃に
死んじゃったんだけどね」
って
それって
もしかして
形見の品とゆ〜ヤツでは
ないのでしょうかあああああ。
「あ〜、ホントだあ。
見事にヘコんでるう〜」
「……」
「これは下手に
素人が補修など
せん方がいいじゃろう」
「……」
「…プロなら
直せるんですよね?」
「どうだろうね〜」
お願いですから
気休めでもいいから
大丈夫だ、と
言ってくださいッ。
「でも
クリスタルの破片とか
どうしたの?」
「あ。ゴミ箱の中に」
「トーコちゃんが
片づけたの?」
「スミマセンッ!
勝手に捨てたりしちゃ
いけなかったですよねッ」
私は焦って
ゴミ箱に近づこうとして
おじいちゃんの重みに
ツンノメったッ。
「ううん。
そ〜ゆ〜意味じゃなくって」
掃除用具のひとつも
おいてない家だから、って。
そんな家が
あるモノなのかあああああ。
「ほぼ毎日
専門のお掃除サービスが
入っているから」
えッ。
「タカヒロは
ちいさい頃から
ホコリとかに
神経質じゃったからのう」
「どの部屋も
マイナスイオンだらけで
空気もキレイでしょ」