「…テレビでも見て
待ってたら
時間だって
すぐ経ちますからッ」
その場の空気を
変えようと
私はテーブルの上にあった
リモコンでテレビをつけるッ。
「おじいちゃんは
どんな番組が好き?」
「……」
…おじいちゃんが
うつむいたまま黙っていて。
「…テレビ、見ないなら
消すからねッ」
ちょっとテレビを消してみた。
「おじいちゃん?」
単なるワガママだとばかり
思っていた
おじいちゃんの顔が
ゆでタコみたいに
耳まで
真っ赤になっていてッ!!!
「本当にトイレを
我慢していたんなら
そう言ってくださいッッ」
おじいちゃんと
いっしょに
無駄に広いトイレに入るッ。
「……」
…老人介護だと思えば
いいんだよねッ。
使いなれない左手で
おじいちゃんのベルトを
たどたどしく外すと
「はいッ、どうぞッ!」
強引に
ズボンを引き下げるッ。
「まだ残っとるぞ」
「……」
ひらひら、と
私の手に触れてくる
フンドシの布の感触ッ。
「横からちょいと
摘まみ出して
支えててくれれば
よいからのッ」
…何を
横から摘まみ出せ、と?
「緊張せずとも
よいからな。
ワシのは
タカヒロのように
デカくも暴れん棒でも
ないからの」
かわいいモンじゃ、と
言いながら
おじいちゃんの腰は
くいくい、と
元気に
妖しく動いていた…。
「……」
介護だと思えばッ。
介護だと思えばッ。
介護だと
思えばあああッッ!!!
「ごくりッ」
あまりの緊張に
思わず
ツバを飲み込んでしまう。