一輪ざしから
溢れ出す液体が
容赦なく異臭を放ちッ。
「…うわッ。汚ったね〜」
オシッコまみれの
私とおじいちゃんを見て
セイのカラダが
後ずさるッ。
「だから
手錠を外してって
頼んだのにッッ!!!!!」
「バカッ!
それ以上、近づくな!!!」
異臭を放つ
私とおじいちゃんに
追い掛けられて
セイが部屋中を
本気で逃げ回ってッ。
「いいかッ
俺は怪我人なんだぞッ!
安静にしてなくちゃ
いけないんだからなッ」
…こういうときだけ
怪我を
アピールするんですねッ。
怪我を隠して
あんなにも我慢強かった
セイは
どこへいって
しまわれたのかッッ!!!
「ヒビが入ってた、だけ
でしょうッ!」
”だけ”というコトバを
強調したのは
ワザとではなかった。
だけど
もうなんか悔しいやら
腹立たしいやら、で。
「私だって
片手は使えないし
おじいちゃんって
重石はついてるしッ」
何だか
泣きたくなってきた。
「…わかったよ」
部屋の隅っこに
追い詰められたセイが
ようやく
やっと観念する。
外してやれば
いいんだろ、って
セイがポケットから
ちいさなカギを取り出した。
「ちょうどマンションの前で
ハイヤーと
いっしょになったから」
「おお!
では、ワシの着替えも
あるなッ」
「ハイヤーの運転手に
着替えを運ぶよう
管理人に声を掛けて貰うよ」
セイはカギを私に渡すと
玄関フォンのボタンを押して
管理人室と話し始めた。